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夏の音と湿度計

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スターネットという場所で過ごした日々を想った今日
ふと、頭に戻ってきたのが
あの場所での日々と綴った文章のこと。

ずいぶん手を付けてなかった本棚の一冊を取る。
1年ほど「fooga」という本に連載していただいたエッセイ。
ちょうど夏のころに書いたものの書きだしは
偶然にも
6年前の7月が終わる今日の日のことだった。

タイトルは「夏の音と湿度計」とあった。


『八月に入るひとつ前の日に、滑り込むようにここにも夏がやってきた。
それは昨日までのまとわりついてくる重たい空気とも違い、
暑いけれど心持ち爽やかな風が吹いてきて、肌を滑るように通り過ぎた。
窓の外で日差しは影を色濃く映し、蝉が一斉に夏の訪れを喜ぶかのように鳴いている。
そんな景色を眺めながら
「ああ、夏っぽくなってきたね」と、隣にいる子につぶやく。
「梅雨は明けたのかね?夏だねえ」と応える。

 閉ざされて、音がどこかに吸い込まれてしまったかと思うくらいのしんとした冬とは真逆に、
夏の益子はいろんな音に囲まれて賑やかだ。
朝と昼と夜で違う虫たちの鳴き声とか、田んぼで合唱する蛙の声。
突然降る夕立の激しい雨音や雷鳴。
元気に通り過ぎる子供たちの声・・・
街にいては分からない、
たとえ聞こえていたとしても騒音の中のひとつになってしまうような自然の音たちが
ここでは瑞々しいまま、心地よく響いてくる―』




「せっかくの経験もあるし、書いてみたらどうかな」
そう言われて、益子に来ても文章を書けるチャンスを与えてくれたのだ。

毎日せっせとスターネットのキッチンで料理をし、
時に小さな畑の世話をしたり、森の中を歩いたりもした。
たくさんの作家さんの展覧会を見て、小さなライブを聴く楽しみも味わった。

そんな日々の中で見たもの感じたことを
なるべくそのまま伝えられるようにと思いながら書いたものだ。

今読み返すと、何のテクニックもなく
そのまんまで恥ずかしいようなところもあるけど、
本当に毎日が新鮮だった。


結局そこでいただいた日々や学びのご恩をお返しすることもなく、
とても中途半端な形で終わってしまったことを
今でもどこか心残りに思う。

感謝の気持ちは行き場がなく
ただただ胸にしまっておくしかできない。



『益子の夏は自然の音で満たされている。
ちょうど店を閉める夕刻に、切なげに蜩が泣く。
氷を入れた水を飲む人のコップがカランと鳴る。
ふと椅子に腰掛けると蚊は耳元で煩わしい羽音を立てる。
蚊取り線香の煙がすうっと立ち上り、ちょっとした空気の揺れで煙も傾く。
そんな夏のひとコマはしっとりとした音が馴染んでくる。
耳に届く音も、鳴らない音も。薄暗くなってもまだ、蜩は遠くで鳴いている。
何かを惜しむように鳴いている。』
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